俺は現在、クレジット・カード(借金カード)を1枚も持っていない。1年ほど前にスルガ銀行のVISAデビット・カードの存在を知り、クレジット・カードを持つ意味を見出せなくなったからである。ところが先日、クレジット・カードの盲点とも言うべき隠された意外なメリットを知り、「クレジット・カードも良いかも」と思い直すに至った。どういうことなのか、解説しよう。
話は脱線するが、そもそも、俺のクレジット・カード嫌いは筋金入りだ。嫌いな理由は2つある。(1)1つは、約束手形の不渡りが気になるのと同じ理由で、純粋に「借金が嫌」というもの。ここに経済的な合理性はなく、単に気分の問題なのだが、共感してくれる人は多いだろう。(2)もう1つは、カード会社が顧客を信用しないのと同様に、俺もまたカード会社を信用できない、というものである。
カード会社を信用できない、とはどういうことか。説明しよう。クレジット・カードの使用には、大きなリスクがあると俺は考える。それは、カード会社による定期的な再審査のプロセスにおいて、カードの利用を突然停止される恐れがある、ということである。顧客(俺様)の立場からすれば、「いつ停止されるかも分からないカードを、安心して支払い手段として利用できるわけがない」のである。
事前にカードの停止時期を教えてもらえたとしても、やはり容認するわけにはいかない。カード支払いから銀行口座引き落としなど他の手段に切り替えるための手続きが面倒であることはもちろんだが、そもそも俺は「付き合う相手とは信用/信頼が重要」だと考える。カードの利用を停止してくる可能性が多少でもある限り、俺はその相手(カード会社)を信用するわけにはいかないのだ。厳しいと言われるかも知れないが、これはリスク管理の基本である。
話がそれたが、以上が俺がクレジット・カードを持たない大きな理由だ。ところが、こうしたデメリットを差し置いても「実は、クレジット・カードを持つべきなのではないか」、と思えるほど素敵なメリットを、先日知ることとなった。雑誌だったかWeb記事だったかはすでに忘れたが、「節約術」と称してクレジット・カードを賢く使う手法が紹介されていたのだ。俺は目が点になった。
前置きが長くなった。ずばり言おう。クレジット・カードの唯一のメリット、唯一にして最強のメリット、それは、こういうことだ。「公共料金など、本来は支払日がそれぞれ異なる毎月の支払いを、単一の支払い日に集約できる。加えて、月ごとに都度異なる支払い総額が事前に分かる。この2つの理由によって、銀行口座残高を気にすることなく生活できる」---。まさに最強である。
というわけで、一概に「VISAデビットがある現在、クレジット・カードは時代遅れ」とは言い切れない状況となった。銀行口座の残高がいつもスカスカの人にとっては、クレジット・カードのほうが銀行引き落としよりも安心できるだろう。個人的には現金の貯蓄に余裕があるのでクレジット・カードは作る気はないのだが、死ぬほど貧乏になって口座残高と格闘するようになったら、その時はクレジット・カードにお世話になろうと考えている。その日がこないことを祈りつつ。